COLUMN

山田堂

山田堂の醸造蔵。元々は農作物の貯蔵庫であったところを改修した。

余市で最も新しいワイナリーの一つ「山田堂」を立ち上げた山田雄一郎さんは、スペインの醸造学校で学問を修めた経験を持つ。選んだ土地はリベラ デル ドゥエロ、リオハに次ぐスペインを代表する銘醸地だ。

リベラ デル ドゥエロは、スペインの中でも例えばリオハに比べて新興的な地域で、そのようなところにも惹かれました。

現地のワイナリーの跡取りたちの中で、葡萄の栽培から醸造までを修めて帰国した山田さんは、その脚で山梨県へ向かった。日本で自身のワインを造ることを目指していた彼にとって、歴史、伝統そして何よりも情報の宝庫である山梨県を訪れ、そこでのワイン造りの経験を積むことは必然的なことだった。

将来独立を前提にしていた自分にとって山梨で経験を積むことには大きな意義があると感じていました。それに、日本でワイン造りをするなら、甲州やマスカットベーリーAを知らずにワイン造りは語れないとも思っていました。

機会に恵まれ、1939年創業の老舗ワイナリーである白百合醸造に就職。5年間ワイン造りに携わった。独立のためのステップとしての、ある種修行のような位置づけのワイン造り。その経験を白百合醸造という生産量の多いワイナリーで得たことは、山田さんにとって非常に大きな意味を持っている。