COLUMN
宮本ヴィンヤード
宮本ヴィンヤード は、北海道三笠市達布地区に位置するヴィンヤード。
2011年より、葡萄畑の開墾を始め、ピノノワール、シャルドネ、ピノグリなどを中心に約4,000本を植樹した(※現在は約3ha、8000本)。広さにして2haほどの、急斜面上に広がる畑はタキザワワイナリーに隣接して位置し、 自園より収穫された葡萄の醸造は2020年ヴィンテージまで タキザワワイナリーの施設を使用しておこなってきた。
「今考えると、ワインと出会うために調理師学校に通っていたのだと思います。」
調理師学校時代、20歳でワインに心を打たれた宮本さんは、調理師の職を得た後も、その魅惑の沼に沈み続け、所得の大半をワインでフランベする情熱的な日々を送った。
やがて、調理師としての仕事にピリオドを打つと、2002年に長野県の著名な生産者である「小布施ワイナリー」に乗り込んだ。日本ワイン特集でピノノワールの栽培家として紹介されていた事が決め手だったそうである。
「ここで働かせてください!」のような特攻スタイルと言えばいいのだろうか。
単身、小布施ワイナリーでの研修を申し出た。どういうわけか、そのアタックは功を奏し宮本さんのワイン造りのヴォワイヤージュがスタートした。
「突然押しかけた私を受け入れて、ワイン造りを教えてくださった曽我さんには本当に感謝しています。私の恩人の一人です。」
小布施ワイナリーでの研修を経て、ニュージ―ランドの楠田ワインズ、リムグローヴワイナリーなど、著名なピノノワールの生産者の下で修行を積み、日本に帰った宮本さんはいよいよ運命的な出逢いを果たす。
ジャッキー・トルショーというドメーヌをご存じだろうか。
ブルゴーニュは、コートドニュイ、モレサンドニの往年のスター選手である。 2005年ヴィンテージを最後に引退し、所有する畑の殆どを売却したこの生産者のワインは、一世代前の、ダイナミックかつエレガントなピノノワールのあり方を象徴する素晴らしい作品だった。現役時代、彼のワインは殆ど日本へ入ってきておらず、幻のように扱われていた。現在では、入手可能性は極端に低いといってよい。法外な金額を支払う準備があれば話は別だが。
そんな希少なピノノワールは、宮本さんの心に響く味わいだった。
唯一心を揺らしたというトルショーに従事したい一心で直後ブルゴーニュへ飛んだ。そして2004-2005年、トルショーが引退するまでの最後の2年間を彼のドメーヌで過ごすことになる。
その後は、ワイン生産者のための職業訓練学校であるC.F.P.P.Aやジョルジュ・ルーミエでの研修を重ねた。